8.がん克服への道

【がん克服への道】Vol.7 がん患者さん向けの「食事療法」は、どれもおかしい

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今日からしばらく「食事療法」をテーマとしてお話したいと思います。

「5つのルール」にも書いたとおり・・・

自然治癒力を高めるための取り組みは、がんを克服するうえで最も重要なことです。

その中でも「食事の改善」は基礎になります。

実は「がん患者さんに向けた食事療法」は何十年も前から存在します。

起源は「ゲルソン療法」という有名な食事療法です。これが発表されたのは1958年。約60年も前のことです。

がん=大きく体を切除するしかない、という時代にこのような本を出版された功績は大きいですし、「自然治癒力の向上が大切」という軸がしっかりしています。

私も長い間、ゲルソン療法について調べたり、実践している人に話を聞いたりしましたので、その内容はよく理解しています。

最近ではゲルソン療法を源流とする「がんの食事療法」は広く認知され、多くの書籍が発売されるようになっていますね。

有名なところでは、済陽高穂さんの「今あるガンが消えていく食事」や・・・

井上俊彦さんの「メディカルイーティング」などがあります。(後の文章を読んでいただければわかると思いますが、これらを推奨しているわけではありません。こういうものが有名です、という例示です)

これらはいわゆる「玄米菜食」を薦めるタイプのもので、ゲルソン療法が源流だといえます。内容はほぼ同じです。

2010年頃まではがん患者さん向けの食事=これらの「玄米菜食」でしたが、近年では「糖質を断って脂肪を中心にする食事」なども登場してきました。

いわゆる「ケトン食」といわれるもので、がん細胞のエネルギーとなる「糖質(炭水化物)」を断つことで、がんを治そう、というものです。

これは玄米菜食とは全く性質が異なります。玄米=糖質ですから。「玄米を食べてはいけない」と逆説を唱えているのです。

定説と全く違う内容が登場したことで、当然、混乱が起きています。

そもそも、ゲルソン療法が登場し、済陽さんが「食事でがんが治る」という本を出版して何年も経つのに「がん死亡者数」は減っていません。

本当に玄米菜食でいいのか?とみんなが疑問を抱いているなかで今度は「肉を食べなさい」「糖質を完全に断ちなさい」などの本が登場したので、何がなんだかよく分からない、という状況になっているのです。

このメールを読んでいる方にも「食事療法」に取り組んでいたり、検討していたりしている方もいらっしゃると思いますが、多種多様な「食事療法」が発表され、一般に広まるにつれて、

『何を食べればよくて、何がダメなのか』と困る人が増えています。

■何が正しいのか?

私は「ゲルソン療法をやればOK」とも考えていないですし、「肉を食べて糖質を断てばOK」とも考えていません。

どちらも完全に間違っているわけではないですが、いくつか大きな問題があります。

ですので、私のもう1つのガイドブック「がんを治す生き方」の大半を食事の話が占めることになりました。

「玄米菜食の弊害」「ケトン食の弊害」については、次回以降の「がん克服への道」で詳しく触れますが、今日は「根本的にブレてはいけない点」を強調しておきたいと思います。

間違いなく「食事(何を摂るか)」はかなり重要なことです。病気でなくともそういえますし、体を病気の状態から健康に戻すためにも必要不可欠なものです。人間が生きるうえでの基礎基本です。

しかし「これで治す」と特別な治療法のように語られていることや、「食事療法」という言葉に、私はとても違和感を覚えているのです。

食事を改善することは「代替療法の1つ」「治療法の1つ」ではないのです。

「これががんに効くから食べるべき」「これはがんのエサになるから避けるべき」、「がんは糖分を好む。塩分を好む・・・だから止めましょう」というように、がん患者向けの食事療法は「がん細胞を意識して」何かのアクションをとろうとしています。

しかし私が重視すべきだと考えているのは「最も健康になるためにどうすればいいか」です。

毎日数十人のがん患者さんと接する日々を10年近く続けていますが、サポートを始めたときに信じていた結論と、数年経ってたくさんの患者さんと接した後に行き着いた答えは同じです。

それは【がんになったら、がん患者さんのマネをしてはいけない】ということです。

「これががんに効く」「これががんに良い」などの考えを持つとどんどん食事が偏り、栄養分も偏ります。

それでいて、実際に「がんを抑制する効果」が上がることはありません。(人間のがんをどうこうできる特定の食材など存在しないからです)

大事なのは、体全体をみた栄養バランスです。

免疫力ではなく「いかに自然治癒力と恒常性維持能力を上げるか」を考えれば、おのずと「人間が最も健康になれる食事」が正解になります。

あなた身近にいる「とても健康な人」を想像してみてください。(ひとりくらいは目に浮かぶと思います)

人参ジュースを毎日1リットルも飲んでいる人はいないでしょう?スルフォラファンを摂取するためにブロッコリーを3個食べる人もいないはずです。

目指すのは、「もっとも健康な人間」です。

情報を集めるのはいいですが手段・手法にだけ目がいって、根っこの大事なところを見失わないことが大事です。

もちろん、病気になってからは、健康な人と同じことはできません。手術や薬も使わなければならなくなります。

ですが、体やメンタルづくりという面で目指すのは「自分史上最も健康な体、そしてメンタル」です。

この方針はガイドブック「がんを治す生き方」でも伝えていますし、ずっとブレません。

そのため、他の人の「食事療法」を私が薦めることはありません。(このとおりやればいいですよ、という本があればよかったのですが、ないのです)

・・・

では、細かい点に触れていきます。

次回のテーマは「玄米菜食の落とし穴」です。

---【患者さんからの報告紹介】---
肺がんからの胃転移が消失した松本さん

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