8.がん克服への道

【がん克服への道】vol.12 事例から学ぶ「高額な民間療法や漢方薬をどう判断するか」

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今日のメールレターは昨日の続きです。

早期の子宮頸がんが判明した大谷さんは、日本有数の2つの病院でセカンドオピニオンを受けました。

結果は「最初の診断どおり、準広汎子宮全摘出手術しかない」。

義理の妹からは、「150万で治せる」という霊能力を持つ整体師を紹介され・・・友人からは、16万円以上の漢方薬サプリを薦められました。

そんな大谷さんの相談を受けた私はどう答えたか?

その結果、大谷さんはどんな選択をしてどんな結末に至ったか?というお話でしたね。

今日のメールは少し長くなりますが、まずは私の回答を。

簡単なところからいきますね。まず霊能力のある整体師への対処です。

「怪しい人とは、こういう人のこと」という感じですね。普段なら、こういう人に引っかかる人はまずいません。

しかし「命がけのがん治療」となると話は別で、こういった人に引っかかる人が後をたちません。

なぜなら、がんという病気のことをきちんと勉強する人は少数ですし、不安が強い精神状態では冷静な判断力を失うからです。

実際、大谷さんも義理の妹さんの口から「霊能力のある整体師」という言葉が出てきた時点で、ふつうなら1秒で却下できるはずですが、電話で整体師と話すところまでいってしまいました。

がんは遺伝子レベル、細胞レベルの病気です。

今、がん治療の中心は遺伝子や細胞内の酵素の研究です。もうそういうレベルで考えるしか、改善の可能性はないのです。

いっぽう、整体とは体の骨格や筋肉を整える治療法です。細胞とは無関係、とはいいませんが、普通に考えて「がん細胞をどうにかできる」わけがありません。

ましてや霊能力は何の関係もありません。それ以上、何もいうことはありませんね、というお話をして終わりです。

次に、友人の薦めてきたサプリメントについて。

これもよくある話ですね。

こういった話がきた場合はまず、友人が薦めてきた背景を確認することです。

私は大谷さんに次のことを確認するように伝えました。

・そのサプリを薦めることで友人に何か利益は発生するか。
・友人はサプリに詳しい人なのか。もし詳しい人なら、
どんなサプリと比べて、どんな理由で大谷さんに合うと思ったのか。

確認したところ、友人はそのサプリをネットワークビジネスで販売しており、一件成約すると数万円のコミッションが入ってくることが分かりました。

友人が長年サプリを専門に扱っているプロであれば話を聞く価値は十分にありますが、最近始めたばかりで知識はなく契約が取れずに困っていたそうです。

このような経緯で入ってきた情報は”大谷さんのために生まれてきた情報”ではありません。

友人のお金のために沸いてでた「悪い背景の情報」ですので、よい結果を生む確率は極めて低いといえます。

とはいえ、いっぽうでは柔軟な考え方も必要です。「よいサプリかもしれない」という可能性を最初から否定してはいけません。

がん治療はまだ答えがない病気です。何が起きるか分かりません。ですので、どんな情報であっても、(ある程度の信ぴょう性があるものは)頭から否定することは正しい姿勢とはいえないのです。

友人がとてもがん治療に詳しくて、子宮頸がんの大谷さんのためにあまり知られていない情報を必死で探してきてくれた、という可能性もあるのです。

ですから、その背景を確認することが大切です。

背景が良いものは、良い情報である可能性があるので、そのときに改めて情報(含まれている成分がどう役に立つかなど)を深く検討してみることが大切です。

今回の場合は、背景が良いものではなかったので深く検討する必要はありません。もちろん、大谷さんには「それは不要なので断りましょう」と伝えました。

同時に「正しいサプリメントの選び方」を大谷さんに私は伝えました。

※どんなサプリでも「がんに効く」という触れ込みのものはスルーすべきです。その理由や、正しいサプリメントの選び方はガイドブック(がんを治す生き方)で説明しています。

次に、本題となる「手術」についてですね。

私は、大谷さんにこのように答えました。

『まず、医者の思考を理解しましょう。医者は、進行する可能性が少しでもあるなら、がんを撲滅するほうを選びます。がんが見つかった以上、がんを再発させないことを絶対的に優先します。

子宮を失おうが、リンパ浮腫になろうが、がんが消えたらそれが最善の選択だと考えるのです。だから医師の立場に立つと、今回の提案は当然の結果です。

しかし患者としては、医師の提案も選択肢の1つにしかすぎません。自分で判断するためには、現状を冷静に分析する必要があります。現時点で、目にみえるがん細胞は存在しません。

細胞診の結果をみても、悪性度が高いとは思えないので、手術をしなくても何の問題も起こらない可能性がはるかに高い。90%以上は何も起きないでしょう。

ただ、実際にがんが存在したことは確かなので、周辺の子宮や膣部にがんが存在する可能性はあります。それが進行して、再発という形で表在してくる可能性もあります。

これが現状です。現状を把握したうえで、私が出す答えは「今すぐ手術をしなくてもよい」です。

今後、自然治癒力を高めながら経過観察し、悪化の傾向がみられるようなら、そのときに手術を検討すればよいです。

きちんと経過をみていけば、一気に進行し、手術もできないほど悪化するという事態には、まずなりません。つまり「手術するなら悪化の傾向がみられてからで十分間に合う」ということです。』

・・・これが私の大谷さんに対する回答でした。

もちろん、急激に悪化する可能性はゼロではありません。それは極めて低い確率ですが、そのリスクは負わなくてはならない、ということも伝えました。

がん治療に関しては、白か黒かをはっきり分けることはできません。何のリスクもない決断などないからです。

重要なのは、現状をしっかり見極め、どんな選択肢があるのか。そしてそれぞれにどんなメリットとリスクがあるのかを把握することです。

さて、私の回答を聞いた大谷さんは、どのような判断を下し、その結果はどうだったのでしょうか?

そして、この事例から学ぶべきポイントとは何なのか?

次回は、大谷さんの事例の結末についてです。

※余談

150万円の要求は特に驚く金額ではありません。このようなケースもあります。

---【かなり酷い参考事例】---
2,000万円だせば治してやる、という話

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