今日は、私がサポートさせていただいた、子宮頸がん患者の大谷さんという女性(47歳)のお話です。
(もちろん実話ですが情報の公開には了承を得ており、個人情報は全て伏せています)
この大谷さんのエピソードでは、2つのことが学べます。
1つが「医者の治療提案は、あくまで選択肢の1つ。冷静に状況を把握して、納得のいく決断をすることが大事」だということ。
2つめが「がん患者さんいは怪しい話が次々届くから注意が必要」ということです。
子宮頸がんという女性特有のがんですが、この事例を通じて学べることは、どんながんでも共通です。
それでは、さっそくみていきましょう。
大谷さんは、子宮頚がんの疑いがあるということで、2012年11月に円錐除去手術を受けました。
円錐除去手術とは、子宮頚部を円錐状に切除するので、子宮頚部病変の広さや程度を正確に知るという診断的目的と、悪い部分を切除してしまうという治療的目的があります。
切除した組織を調べた結果、高度異形成~0期の腺がん、扁平上皮に範囲5ミリ、深さ1.5ミリの微小浸潤がんが見つかり、その一部がリンパ腺の組織に軽度に入り込んでいました。
つまり、それほど悪化しているわけでもなく、現時点で危険性は高くないがわずかな浸潤がみられた、ということです。
この場合、子宮がんの治療ガイドラインでは、「準広汎子宮全摘出手術と、リンパ節郭清」となります。
この手術は、子宮の全摘出に加え、卵巣、卵菅、子宮を支えている靭帯、腟の一部まで摘出する大きな手術です。
体は元気。
がんとはいえ、ほんのわずかな浸潤で自覚症状もない。
だけど子宮、卵巣は全て切除しなければならない、と医者に言われた、ということです。
他に何か手段はないものかと考えた大谷さんは、都内で有数の実績を誇る、癌研究会有明病院と、慶応大学病院でセカンドオピニオンを受けました。
両方とも、子宮頸がんの治療件数は国内でも随一、名医と呼ばれる先生もいる病院です。
さて、セカンドオピニオンの結果はどうだったかというと・・・
両病院から提示された答えは、「主治医の指示どおり、準広汎子宮全摘出手術を受けるべき」というものでした。
理由はただ1つ、「それが標準治療だから」です。
大谷さんは、医師からこんなことを言われました。
「せっかく微細で見つけられたのに、手術を待ってがんが広がっちゃってたら残念じゃない?」
「医者としては今の段階なら、手術を受ければ100%に近く命は助かるので手術を勧める。」
「子宮頚がんは厄介だし浸潤が進めば命にかかわるから、このまま何もしないのは非常に危険です。」
・・・いやいや、それでも今の自分の体には(円錐切除術で切除しているため)がん細胞は無いし、自覚症状も何にもないのに、子宮や卵巣などを全て切らなくてはならないというのが納得できない、と、大谷さんは反論しました。
しかし、医師からは「あなたより僕の方がたくさんの子宮頚がん患者を診てるんですよ。あなた自分が病気だと自覚してますか?」と、語気を強めて叱られてしまい、諦めて帰ってきたのです。
セカンドオピニオンを受けても納得できなかった大谷さんは、ご主人や親せき、知人に意見を求めるために相談しました。
すると、ご主人の妹さんから「がんを治せる人がいる」と連絡を受けました。
話を聞いてみると、その人は霊能力があるという整体師でした・・・。
整体師の言い分を電話で聞いてみると、
『僕の整体を受け、推奨するサプリを大量摂取していけば、必ず助かります。ただ、保険がきかないので、1年で、150万円位です。それが払えて飲み続けられた人は助かります。途中で僕の治療院に来なくなったり、飲めなかった人は、死んじゃってますね。
でも、助からない放射線治療や、抗がん剤治療でも年間600万~1000万円位かかるので、それから比べて助かるのだったら安いでしょ?』
と言われました。
翌日には、別の人(友人)から「漢方サプリメントの定期購入」を薦められました。
日本では未承認の漢方サプリで、カンカ、キンバイザサ、丹参葉、サンシュユ、高麗人参などが含まれ、それを定期的に飲むと、がんが消えると言われました。
お値段は、初回セットで16万円。その後は月々2万円・・・。
いよいよ、何がなんだか分からなくなった大谷さん。
私のサポートを申し込まれたのが、ちょうどこのタイミングでした。
大谷さんはがん患者として、模範的な行動をとってきたわけです。
”治療方針を主治医任せにせず、セカンドオピニオンを受け、自分のがんをどうすれば治せるのかを知るために広く情報収集する。”
まさに模範ですね。
しかし、結果的にその行動は彼女を苦しめてしまったのです。
がん治療の世界に関する情報は玉石混合で、混沌としています。
情報を求めようとすればするほど、ドロ沼にハマることがあります。
私自身も経験しましたし、多くの方が大なり小なり大谷さんと似た境遇に追い込まれていると思います。(それでも霊能力者は滅多に登場しませんが)
さて、大谷さんから相談を受けた私はどのような回答をしたのでしょうか。そして彼女はどう決断し、どんな結果になったのでしょうか。
続きは明日のメールレターで。